master

雪の降る街

最新の宇宙技術による地球防衛

自然災害は人間の手の及ばない非常に恐ろしいものですが、中でも甚大な被害を生む可能性があるのが隕石の衝突です。

日本においても南アルプス山中に「御池山クレーター」という国内唯一のクレーターがありますが、アメリカの「バリンジャー・クレーター」やカナダの「ディープベイ」、オーストラリアの「ゴッシズブラフ」といった巨大なクレーターが世界中に存在しています。

今後地球上に惑星が衝突する可能性があるという研究結果もあり、もし大きな隕石が衝突してしまった場合には地球規模で大きな影響が出ることになるでしょう。

そうした隕石衝突に対して米国航空宇宙局のNASAが防御対策として開発をしている技術があります。
これは2013年にアポロ小惑星群の一つの隕石がロシアに落下したことにより、1500名以上が重軽傷を負ったということを受けたものです。

NASAの新技術では小惑星が地球に接近してきたことがわかった場合、あらかじめ宇宙船を出発させて途中で惑星に衝突させ軌道を変えさせることを目的とします。

この技術は「DART(Double Asteroid Redirection Test)」と言われるもので、直訳すると「二重小惑星進路変更テスト」となります。

「移動衝突機」と言われる宇宙船を出し、小惑星めがけて飛んでいくということからゲームの「ダーツ」に引っ掛けて命名をされているようです。

2022年には実装の予定

この「DART」ですが、初の実装として計画されているのが2022年の小惑星ディディモスへの衝突です。

小惑星ディディモスとはギリシア語で「双子」という意味を持つ二つの惑星のことで、ディディモスAという直径780mの天体の周囲をディディモスBという直径160m程度の惑星が周回しています。

この小惑星ディディモスは現在のところただちに地球に衝突する危険性があるものではないのですが、今回DARTを実験するにあたり衝突によって起こる地表温度の変化や飛散する粉塵・ガスを測定することとなっています。

この実験のポイントは隕石そのものを爆破して破壊するのではなく、小さなインパクトで軌道を大きく変化させるということです。

上記で紹介したクレーターはいずれも地形を大きく変化させるほどのものですが、隕石の大きさとしては決して大きなサイズではありません。

隕石のもたらす力は非常に強く、小さなものでも大きな衝撃を地球上に与えます。
そのため武器弾薬をもって完全に破壊することはほぼ不可能となるので、地球へ衝突を回避させるには方向を変えるという方法が現実的と言えます。

DARTは実験ではありますが、衝突させるために4ヶ月をかけて宇宙船を出港させる壮大な物です。